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P.63のロレンスの顔がいやらしい

狼と香辛料〈16〉太陽の金貨〈下〉 (電撃文庫)狼と香辛料〈16〉太陽の金貨〈下〉 (電撃文庫)
(2011/02/10)
支倉 凍砂

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………なんだろう。
5年16冊もかけたシリーズが、折にふれ何度も読み返した愛着ある作品が終わったというのに、全く寂しさを感じません。不思議な感覚です。

およそ英雄譚に縁のない作品でしたが、傭兵団の追撃戦においてもそれは遺憾なく発揮されてましたね。まさかこんな場面でいかさま芝居を、それも両傭兵団が共謀で演じるなんて誰が予想したでしょう。
でも説明されてみればそれは至極当然の理で、小説の登場人物が物語上の役割を果たすために血を流すのとは違う、忠誠からではなく職業として剣をとった者たちの血肉の通った理屈がそこにありました。
こういった人間の裏側や内幕を物語として見せてくれるライトノベルは、たしかに「異色」と呼ばれて仕方ない。

シリーズの後半にかけて徐々に一目置かれる商人として成長してきたロレンスが、一転「所詮一介の行商人」として蚊帳の外に置かれる展開も意外でした。これが成長物語ならば、この最終巻においては大商人をもしのぐ活躍を見せて読者に爽快感を味わせてしかるべきところですが、『狼と香辛料』はそうはさせてくれない。ひたすらロレンスの無力感を描く。
そして誇りや使命感が導く危険ではなく、個人の幸福の追求を肯定する。
どこまでも王道の真逆をいく展開でした。

それでいて、最後に一介の行商人だからこそ到達できる発想で逆転ホームランを打たせてしまうんだからもう。。

繰り返しますが、不思議と寂しさは感じません。
常々旅の終わりについてはロレンスたちから語られてきており、その結論も既にでていたから、というのもあります。
ホロとの繋がりがもう揺るぎないものとなってるせいでもあります。
あとがきで夏にもう一冊出すよと言われたせいもあるかもしれません。

でもそれだけではなく、この恐ろしく地に足のついた作品において何度も示されてきた人の生き様というものが、ロレンスたちを物語のために用意された登場人物とは思わせてくれないからではないかと思います。
ハッピーエンドだけど、彼らの人生はこれからも続いていく。ロレンスとホロのそれからが見える気がして。
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