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失われた神々の時代と狼の成長

狼と香辛料〈12〉 (電撃文庫)狼と香辛料〈12〉 (電撃文庫)
(2009/08/10)
支倉 凍砂

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古き神々の時代の終焉は既に第一巻、パスロエ村のエピソードからずっと描かれているわけですが、今回はそれを強く感じるお話でした。残された神々は人の世界に溶け込むことを余儀なくされ、ひっそりと暮らしている。故郷を懐かしみながら。
鳥の錬金術師・ディアナのときはそうでもありませんでしたが、前巻のハスキンズから続く羊たちのエピソードは一抹の寂しさを感じさせますね。
ホロの故郷・ヨイツの安否はいまだ判然としません。けれど現実と対面するときの心構えは少しずつ出来上がっている、そんな気がします。残る問題はやはり、故郷にたどり着いた後にロレンスとどうするか、でしょうね。

この巻で一番の変化はホロの成長だと思います。
孤高の羊飼い・ハスキンズがホロに与えた影響は大きかったようですね。自分よりも上位の、それも力ではなく精神面で上回る存在に相対したのはおそらく初めてのこと。学ぶことも多かったのでしょう。
一番わかりやすいのは羊の商人・ユーグに頭を下げた場面ですが、私はむしろこの場面が印象に残りました。

「たわけ! ならばわっちがなぜあの小娘にいらいらしておったかもわからんかったというのかや」
「ぬしは面目丸つぶれだったわけじゃろうが。他ならぬ、わっちの前で」


私はここを読んだとき、正直「またか」とうんざりしたんですよね。
ホロがロレンスに理不尽をはたらくのは毎度のことですが、これはほとんどいいがかりに近い。そもそもホロは男(雄)に夢見すぎてるところがあります。雄はかくあるべし、みたいな価値観を常にロレンスに押し付けたがる。相手を完全に間違えてるとしか思えません。
ロレンスは商人なのです。小僧の頃から親方に小突かれ、守るべきプライドなど全部叩き折られてきた、独立してからも散々失敗し辛酸を舐めてきた生粋の商人です。そのロレンスが、商会であしらわれたことなど、いちいち根に持つはずもなし。まして「女の前だったから」なんだというのでしょう。
これだけ浅からぬつきあいをしておきながら、ホロはいまだにこんなこともわからないのかなと辟易しましたが、今回のホロが違うのはここから。

「じゃがまあ、世の中往々にしてそんなところなんじゃろうな」
「なに、神だなんだと崇める連中が、同じことをしておった、ということじゃ」

そうして、パスロエ村で麦の神へ無礼をはたらいた若者が責められるのを見て自身が呆れた話をする。

たった今まで腹を立てていた自分自身を、こんなにも客観的に分析できるようになった。相手の心境や価値観を慮れるようになった。
ホロは本当に成長したんだなぁとしみじみ思ったエピソードでした。
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